『恐怖のかくれんぼ屋敷』の物語…


十年前に隠れたあの子が、今もあなたを待っている・・・・・・

もういいかい?もういいよ・・・

夜になると、この屋敷では子どもの声が聞こえてくるということです。 ようちゃんがあのかくれんぼを続けているのです。 十年が経った、今でもなお・・・。

十年前、お母さんと二人で暮らしていた小学3年生のようちゃんは、家に一人でいるのが寂しくて、いつも 友だちと遊んでいました。

ある日の夕方、空き家でかくれんぼをしていると、友だちのシンくんが言いました。
"夕焼け小焼け"が鳴り終わるまで隠れていた人に、何でもほしいものをあげよう」

ようちゃんは、押入れに積まれた布団の間に体を忍ばせ、ずっと欲しかったもののことを考えていました。 ようちゃんが欲しかったもの、それは「お父さん」です。

オニになったシンくんに見つかった友だちは次々と帰っていき、残るはようちゃんだけになりました。

「ようちゃん・・・ようちゃん・・・」
シンくんは、ようちゃんの名前を呼びながら屋敷の中を歩き回りました。 すると、どこかで同じように
「ようちゃん・・・ようちゃん・・・」

と呼ぶ声が聞こえます。 誰かが戻ってきてくれたんだ。シンくんは、声のする部屋を開けました。

すると、そこには見たこともない男の人が立っていました。
「おじさん、もう何年もようちゃんを探してるんだ。お母さんはさっき見つけたんだけどな」

そう言うと、男の人はシンくんの目の前に右腕を差し出すと、その腕は真っ赤な血に染まっていました。 シンくんは恐ろしくてたまらず、小走りで玄関に向かいました。

ようちゃんは、押し入れの中に身を潜めて、自分を呼ぶ大人の声を聞いていました。 呼びかける声の合間に、乱暴に戸を開けたり何かを倒したりする音が聞こえてきます。
「もういいかい・・・?もういいかい・・・?」

恐怖で震える中、遠くで鳴る"夕焼け小焼け"を聞いて、ようちゃんは必死に願いました。 「お父さんがほしい・・・」 あのメロディーが終わるまで隠れていられたら、お父さんが助けてくれるかもしれない。

「もういいかい?」
その声が、すぐ近くで聞こえました。
「ようちゃん、みっけ・・・」
男の人の声が、すぐ耳元で聞こえたと思ったら、二度、三度と鋭い刃が突き立てられました。 "夕焼け小焼け"が鳴り終わるまで隠れていられたようちゃんは・・・、 願いどおり、お父さんに会うことができたのです――――。

この屋敷に入るあなたは、"夕焼け小焼け"が鳴り終わるまでに、ようちゃんを見つけなくてはなりません。 ようちゃんが、見捨てられた深い怨みを抱えながら隠れて待ち続けているのは、十年前に自分を見捨てたシンくんです。

そのシンくんとは・・・、あなたのことです!

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